▼「地域主権改革」で保育はどうなる?

 

 「地域主権戦略大綱」は、保育所について国の責任を後退させて条例まかせにし、職員配置などは「従うべき基準」として遵守事項とされたが、避難路など安全に関する部分は地方自治体の裁量にまかされる「参酌基準」とされ、地方自治体の姿勢や財政により、子どもの安全を危うくする施設があらわれるおそれがある。

 保育所の給食についても、すでに3歳以上児の保育所給食外部搬入が構造改革特区認定を契機として広がりつつあり、子どもの発達への影響が懸念されている。「地域主権改革」によって市町村の裁量が拡大されると、保育の質は市町村まかせになり、さらに保育所の質の地域間格差が拡大することになる。

【※自由法曹団の意見書『「地域主権改革」でくらしはどうなるか』の「第1 保育」より。全文はこちら】

 ▼日本保育学会が意見書を発表(2011年8月10日)

 

  震災・災害の国といわれている日本にあって
  保育保障の最も基本的な子どもの安全と安心を

  保障する国の責任を放棄している

  「子どもの安全と生命が危険にさらされる」

 

 日本保育学会が8月10日、「『地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律』(以下『整備法』)の施行に伴う児童福祉法施行規則等の一部改正に関する意見書」を発表しました。意見書では、「大都市部における保育環境については、すでに規制緩和で園庭のない保育所が容認され、今回の特例措置で狭い部屋にもっと詰め込むことを容認するだけでなく、さらに、屋外非常階段や避難上有効なバルコニー等避難設備の設置義務も規制緩和するということは、保育保障の最も基本的な子どもの安全と安心を保障する国の責任を放棄しているに等しいといわれても致し方ないのではないでしょうか。むしろ、震災・災害の国といわれている日本にあって、震災・災害を想定して安全・安心な保育環境を日常的に整備しておかなければならないのです。園庭や避難設備の設置義務もなく、詰め込みの狭い部屋という保育環境で、幼い子どもの安全と生命が危険にさらされることは火を見るより明らかです。そうした事態が生じてからでは手遅れなのです。私たちはこのような危険な状況が想定されることをとても見過ごすことはできません。」としています。【※意見書の全文はこちらへ(PDFファイルです)】

▼第42回全国保育団体合同研究集会(2010.8.8~9)の基調報告から【全文はこちら】

 

 すべての子どもに保育を平等に保障するナショナルミニマムを確保する

 

  保育所のナショナルミニマム(最低基準)を地方条例化し最低基準そのものをなくそうとしています。日本のどの地域においても、すべての子どもに同一条件で保育を保障するために「最低基準」の堅持と向上が求められています。最低基準の抜本的な改善と国による保障の仕組みをつくりましょう。

 

 最低基準の地方条例化は、保育所運営費(児童福祉法では、運営費は最低基準を維持する費用です)の根拠を崩し、市町村の保育実施の義務を明記した児童福祉法第24条の「改正」に連動します。公的保育制度を維持・向上させるためには、最低基準の廃止・地方条例化を許してはなりません。

 ★日本弁護士連合会は、2010年12月17日付で発表した意見書において、「地域主権改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律案」の審議及び今後提案が予定される地域主権改革推進関連法案の策定にあたっては、保育、教育の分野にも重大な影響が及ぶ可能性があるため、保育、教育の保障の観点から、「具体的影響を精査し、影響を受ける当事者の意見を十分に聴取したうえ、拙速を避け、国民的議論を踏まえた慎重かつ徹底した審議」を求めています。【※全文はこちら。PDFファイルです】