▼河川の管理維持の崩壊

 

 地方整備局廃止による影響

 

 河川のうち、国の直轄管理区間は、総延長の約7%である。しかし、国直轄河川は、想定氾濫区域内人口約4,700万人(約41%)、想定氾濫区域内資産約888兆円とされており(国土交通省)、その管理は、地方整備局が財源的裏付けのもとで、一定の水準を保ってきた。

 

 地方整備局は、洪水時、上流地域と下流地域との利害の対立にとらわれることなく、適切に洪水調整施設を操作することで被害を最小限に食い止め、また、渇水時の水利用調整においても、対立する都道府県間の利害を公平・中立な立場で調整し、もって、国民の生命、財産を守ってきたと言える。

 

 これを都道府県や広域行政制度が担うこととなれば、利害対立が生じる場面において公平・中立な立場に立つことはできない。結果として、適切な措置をとれずに国民の生命・財産を害するおそれが大きい。

 

 とりわけ、近年、気候変動による影響から集中豪雨、ゲリラ豪雨が増大しており、より高い水準での河川管理が必要であることは明らかであるが、それにもかかわらず、治水予算は減り続け、災害予防対策への投資も減少しているのが現状である。地方整備局の権限・事務が地方へ移管されれば、地方の財政状況等によって管理水準にばらつきがでるだけでなく、財源不足による予防対策の一層の遅れ、河川管理水準の一層の低下によって甚大な被害を引き起こしかねない。

 

【※自由法曹団の意見書『「地域主権改革」でくらしはどうなるか』の「第5 社会資本整備」より。全文はこちら】