▼障がい者の人権に関わる重大事項が緩和された要件で変えられるおそれ

 地域主権一括法案では、障がい者の人権に関わる重大事項について、従来のように国が定める基準に「従い」定めるとされていたのを、国で定める基準を「標準として」定められることが可能となったり、国で定める基準を「参酌する」ことで定められるようになったりするなど、基準が緩和されている。これにより、障がい者の人権に関わる重大事項が緩和された基準の下で定められるおそれがある。

 その一例として、施設等の居室定員について挙げる。1980年代は、入所施設では大部屋に何人もの利用者が暮らすことが当たり前であった。しかし、その後、障がい者たちはプライバシーの保護のため一人一部屋の実現を求め、居室個室化の運動が広がった。その結果、厚生労働省は、入所施設の設置基準として、居室定員を4人以下と定め、さらに1人部屋や2人部屋を推奨し、施設運営者に対する指導を行うようになった。このように、施設入所者であってもプライバシー保護は重大事項であることが認識されて上記のような厚生労働省令が定められるに至った。しかし、同法においては、居室定員については定めがないため、「参酌すべき」基準で定められることになる。障がい者運動の成果により厳格になった居室定員に関する国の基準が、同法により緩和された基準で定められうることになる。そのため、障がい当事者の人権侵害のおそれが大きい。

【※自由法曹団の意見書『「地域主権改革」でくらしはどうなるか』の「第3 障がい者」より。全文はこちら】